26歳のときに書いた作品を、リユースして再構築してみようとおもうのだが、これに至るまではいろいろあった。マームとジプシーのこの三年間は、自分たちの過去に発表した作品をある意味、否定していく作業でもあった。とめどなく湧きでてくる、興味と。どうしようもなく拡大されていく、規模。どんどんと速くなっていく、スピード。取り巻くぜんぶのことにアプローチしていくときに振り返ってはいけなかった。振り返らずに、旅をしてきた。しかし去年のいつだったか、すこし立ち止まってかんがえる時間があった。疲れていた。ぼくだけじゃなくて、マームとジプシーが。たぶん、疲れていた。ぽつぽつと、みんなと話す時間があった。はじめて、過去の作品のことを話した気がする。そのときの、なんか、手触りみたいなのって。帰りたい、みたいな感覚と似ていた。この三年間で、生まれた家が壊されて道になった。飼っていたネコの、モモが死んだ。親もみんな、確実に年を重ねている。ぼくも今年、29歳になって20代最後の年を迎える。もう、振り返らないとおもっていた。帰らないとおもっていた。旅をつづけなくてはいけないから。でもでも、待っていてほしいともおもうのだ。もう、なくなってしまった家に。モモに。待っていてほしいともおもうのだ。旅しながら、帰る場所を探して彷徨っている。そのことすべてを、空間として。そこに漂う、波長を。生みだしたい。生みだした先には、また。旅。旅しかないこともわかっているけれど。
http://mum-gypsy.com/wp-mum/archives/works/λλλ2014
- 公演名
- マームとジプシー『ΛΛΛ かえりの合図、まってた食卓、そこ、きっと—————』
- カンパニー
- マームとジプシー
- 公演日
- 2014 年 06/08-06/22
- 場所
- 東京芸術劇場シアターイースト
- 公式URL
- http://mum-gypsy.com/wp-mum/archives/works/λλλ2014
- クレジット
- 作・演出:藤田貴大
出演:石井亮介、伊東茄那、荻原 綾、尾野島慎太朗、川崎ゆり子、斎藤章子、中島広隆、成田亜佑美、波佐谷 聡、召田実子、吉田聡子
舞台監督:森山香緒梨
舞台監督助手:加藤 唯、丸山賢一
音響:角田里枝
照明:南 香織
照明オペレーター:伊藤侑貴
衣装:スズキタカユキ(suzuki takayuki)
映像:召田実子
演出助手:小椋史子
当日パンフレット:青柳いづみ
宣伝美術:本橋若子
制作:林 香菜、古閑詩織
主催:マームとジプシー
提携:東京芸術劇場(公益財団東京都歴史文化財団)
助成:文化振興基金 公益財団法人セゾン文化財団
- 撮影クレジット
- 撮影・編集・監督:須藤崇規
- 映像公開
- 非公開
- 映像公開URL
- メディア
- データ