コンテンポラリーダンスの公演は「週末のみ」「3ステージのみ」といったものが多く、ロングラン公演を実施することは現実的ではありません。それは予算であったり、動員数であったり、様々な理由があるでしょう。
限られた回数の上演では、新しい観客との出逢いが少なくなってしまうとともに、ダンサー自身や作品そのもののブラッシュアップの機会も減っていってしまいます。
急な坂スタジオという創造環境だからこそ出来ることをBATIKの皆さんに考えていただき、年間を通して100回の公演に挑戦することにしました。BATIKのレパートリーの中から数作品をセレクトし、定期的にスタジオパフォーマンスを実施します。
ダンサーも作品も観客の皆さんに観てもらうことで進化しつづけていくはずです。劇場のような装置・照明・音響設備は用意出来ませんが、稽古場ならではの距離感をお楽しみいただけるはずです。この挑戦に、ぜひお立ち会いください。
https://kyunasaka.jp/archives/6831
『モニカモニカ』の姿
前回の100会では『落ち合っている』にまつわる『春の祭典』を上演致しました。
今回の『モニカモニカ(2005年森下スタジオにて初演)』は『ラストパイ(2005年新潟りゅーとぴあにて初演)』にまつわる作品です。
「まつわる」作品にもう一度向き合うと、主体の作品の姿や大切にしていたことが鮮明になります。
少し飛躍しますが、まつわる作品には「それなのに」が詰まっています。むしろ「それなのに」しかないのかもしれません。普段の暮らしは「それだから」で埋め尽くされているように私には見えますが、恐らく心や芸術、特に踊りは私にとって「それなのに」でいっぱいです。主体になっていく作品は、「それなのに」の経緯が、上演時間の中に織り込まれていくので、「それなのに」が「どれなのに?」なのかが見えていく、という構図になるのだろうと思います。まつわる『モニカモニカ』には「それなのに踊ることを止めない姿」しかありません。この姿は生命力です。
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生命力を「それなのに」の前提で世の中に表明することを、私は急ぎながらやってきましたし、今も急いでいるのです。踊りがそれを顕さないと何かが間に合わなくなるという不安は、2005年よりも募っています。
『選べない交われない戻れない許されない終われない分からない
それでも嬉しくてまだ止めない
ただただ体がもげそうで』
(『モニカモニカ』初演時2005年の作品ノートより)
7月吉日 黒田育世

- 公演名
- 急な坂スタジオ『BATIK100会』vol.3『モニカモニカ』
- カンパニー
- BATIK
- 公演日
- 2019 年 07/18-07/21
- 場所
- 急な坂スタジオ
- 公式URL
- https://kyunasaka.jp/archives/6831
- クレジット
- 出演
18日・19日:大熊聡美
岡田玲奈
三田真央
相良知邑
20日:大熊聡美
岡田玲奈
三田真央
21日 :岡田玲奈
三田真央
武田晶穂