コンテンポラリーダンスの公演は「週末のみ」「3ステージのみ」といったものが多く、ロングラン公演を実施することは現実的ではありません。それは予算であったり、動員数であったり、様々な理由があるでしょう。
限られた回数の上演では、新しい観客との出逢いが少なくなってしまうとともに、ダンサー自身や作品そのもののブラッシュアップの機会も減っていってしまいます。
急な坂スタジオという創造環境だからこそ出来ることをBATIKの皆さんに考えていただき、年間を通して100回の公演に挑戦することにしました。BATIKのレパートリーの中から数作品をセレクトし、定期的にスタジオパフォーマンスを実施します。
ダンサーも作品も観客の皆さんに観てもらうことで進化しつづけていくはずです。劇場のような装置・照明・音響設備は用意出来ませんが、稽古場ならではの距離感をお楽しみいただけるはずです。この挑戦に、ぜひお立ち会いください。
https://kyunasaka.jp/archives/6831
〜『落ち合っている』から『春の祭典』へ
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ソロから群舞へそしてまたソロへ〜
この『春の祭典』は『落ち合っている(2014年初演)』というデュエット作品の中での劇中劇に位置するもので、ストラヴィンスキーによる楽曲『春の祭典』の前半部分は私のソロ、後半部分がBATIKダンサーのソロでした。
二人の秘密の会話のような作品進行の中で、その劇中劇は、2人によって語られた会話の一部「母となったある女の悲惨な一生」を「暴露」する必要を背負いました。
どうあれ踊りは何かの「暴露」をしてしまうきわどい力を持っています。
初演から数年後、様々な経緯を経て、この作品の再演の可能性をBATIKのダンサーと探り続けることになります。
結果『落ち合っている』からこの劇中劇『春の祭典』が「一人歩き出し」、一つの「独立した」作品に成長していきました。
私が踊っていた前半部分をBATIKの一人に委ね、後半部分を群舞に構成し直し幾度かの上演を重ねて参りました。
今回BATIK100会での『春の祭典』の上演の機会を頂き、『落ち合っている』が辿った成長のように、今度は『春の祭典』にBATIKのダンサーを「一人歩き出せる」よう育てて欲しい、そう願って全編ソロで構成し直し新たな『春の祭典』を上演する覚悟を決めました。
BATIKの誰もがBATIKでありながら「独立」した強くかけがえのない存在であれるよう願っていますし努めて参ります。
『落ち合っている』は初演時、2014年9月に4日間5回公演5キャストで実施されました。私のパートナーを毎回違うBATIKダンサーが日替わりで踊ってくれたのです。
BATIKのダンサー一人一人と一対一で向き合い伝えたいことがあった為とった上演形態です。「私はBATIKダンサーであるあなたを愛しています」という「暴露」です。
ダンスが「暴露」の力を失いませんように。
2019年6月吉日
黒田育世




- 公演名
- 急な坂スタジオ『BATIK100会』vol.2『春の祭典』
- カンパニー
- BATIK
- 公演日
- 2019 年 06/19-06/22
- 場所
- 急な坂スタジオ
- 公式URL
- https://kyunasaka.jp/archives/6831
- クレジット
- 出演者:大江麻美子
大熊聡美
熊谷理沙
政岡由衣子
※上演回によって出演者が変わります。詳細はタイムテーブルをご覧ください。
タイムテーブル:
6月19日(水) 19時00分(大江)/20時30分(政岡)
20日(木) 19時00分(大熊)/20時30分(熊谷)
21日 (金) 14時00分(大熊)/15時30分(政岡)
22日(土) 14時00分(熊谷)/15時30分(大熊)